スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャワイン特徴

この地方を題材としたミゲル・デ・セルバンテスの「ドン・キホーテ」。

羊乳チーズ「ケソ・マンチェゴ」、最高級サフラン「アサフラン・デ・ラ・マンチャ」。

アンダルシア地方の名物料理とは違う同名の「ガスパチョ(ラ・マンチャ風)」。

各地に点在する小麦挽きのための風車、ひまわり畑など、見どころ・食べどころ満載の場所。

こんな場所にはどんな美味しいワインが満載なのでしょうか。

 

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「カスティーリャ・ラ・マンチャ」の名称の由来

スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャワイン特徴2

「カスティーリャ」はスペインの歴史的地名、「マンチャ」とはアラビア語で「水のない土地」を意味しマドリッドより南に広がる乾燥した大平原です。

州都トレドはマドリッドへ遷都する前の都で世界遺産の都市。小説ドン・キホーテにも「9ヶ月の冬と3ヶ月の夏」と称したように、最低気温がマイナス15℃以下になる冬、最高気温が45℃にもなる夏、この2つの気候しかないような極端な大陸性気候です。

ワインの湖とは?

一地方のぶどう栽培面積では世界最大。もちろん年間生産量はスペイン最大、スペイン全体の1/3を占め、そのスケールからカスティーリャ・ラ・マンチャ地方はワインの湖と呼ばれています。

目を覚ました眠れる巨人

これまでは協同組合が生産の要となっていましたが、ぶどう栽培におけるコストの安さ、豊富な収穫量などから近年スペイン国内外から、高品質ワインを造るワイン関係者が次々と進出。

それまでの安価なワインの大量生産から変貌を遂げヨーロッパや欧米へと輸出されるようになりました。また、EUの政策「地域開発基金」の恩恵に与ったことも大きいです。

ちょっとだけ難しい話になるかもしれませんが、当時EUの各国において国民総生産GDPが低いとされていたポルトガル、ギリシャ、南イタリア、スペイン(マドリッド、カタルーニャ、バレアレス諸島は除く)においてはその他の国・地域との経済的な不均衡を是正するために、農村部を中心とした開発地域を指定し資金を投入していきました。

そして、その開発地域はスペインではガリシア州、エストゥレマドゥーラ州、そしてカスティーリャ・ラ・マンチャ州でした。投入された地域開発資金によりぶどう畑は飛躍的に改善、開墾されました。

それまで家業として親から子へ世襲として受け継がれていたワイン造りは、今では若者を農村地域に呼び戻す切り札として変貌を遂げることとなりました。

こうした短期間の変貌に「この20年間にも満たない間にスペインのワイン産業は、過去2000年分以上の前進を遂げた」という業界関係者もいるほど。また、まだまだ伸びしろのあるポテンシャルからこの地方は「目を覚ました眠れる巨人」とも呼ばれています。

 

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灌漑ができないのを逆手に取ったぶどう品種

水のない土地が由来することからも、夏は極度の乾燥に見舞われるカスティーリャ・ラ・マンチャ地方、灌漑を行えば乾燥対策に効果があるのでしょうが、EU各国では農地に対して灌漑が認められていません。

そこでこの状況を逆手にとり耐乾性に優れた白ワイン用ぶどう品種「アイレン」が栽培されています。その栽培比率はこの地方で90%にも上り、スペイン最大の最大面積を誇ります。

スペイン初の単一ぶどう畑限定ワイン

スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャワイン特徴3

特定の村で他とは際立った違いのある良質な環境の畑から造られる高品質ワインを「ビノス・デ・パゴ(単一ぶどう畑限定ワイン)」と認定する制度があります。

2003年にスペイン初のビノス・デ・パゴに認定されたのが「ドミニオ・デ・バルデプーサ」と呼ばれる49haの畑です。

13世紀からグリニョン伯爵家が所有し続けている歴史ある畑。しかしそこでの作業はぶどう栽培、ワイン醸造共に最新技術を導入し、モダンなワインが造られています。

またスペイン全土でピノス・デ・パゴに認定されている畑は全部で16箇所、その内8箇所がこの地方にあります。

※ビノス・デ・パゴよりも上に位置付けされる「ビノス・デ・パゴ・カリフィカード(上質単一ぶどう畑限定ワイン)」は各D.O.Ca.委員会の審査、決定により認定されますが、2016年時点ではまだ存在しません。

 

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その他のビノス・デ・パゴは

その他のビノス・デ・パゴをご紹介するのですが、その畑を開墾、所有された方って実に多岐にわたる肩書ばかりです。眠れる巨人にはいろんな方が目をつけるのですね。

「ギホゾ」・・・1980年代にボールペンメーカーの経営者が畑を開墾

「フィンカ・エレス」・・・俳優兼演劇プロデューサーが所有

「デエサ・デル・カリサル」・・・1984年に病院経営者が畑を開墾

「カンポ・デ・ラ・グアルディア」・・・1990年に他の州でもワインを造っている醸造家が畑を開墾

「パゴ・フロンティーノ」・・・オリーヴオイルの製造会社の経営者が畑を開墾

「カサ・デル・ブランコ」・・・19世紀から続く農園を実業家が購入

「パゴ・デル・カルサディーリャ」・・・1980年この地で興されたワイナリーが所有

味わいの特徴

「カスティーリャ・ラ・マンチャ:白ワインの特徴」

スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャワイン特徴4

マスカット、青りんご、バナナ、ブラックオリーブ、ライチに白い花のような香り、すっきり爽やか、ほんのり甘味のあるフルーティ、だけどさらりとした質感。

「カスティーリャ・ラ・マンチャ:赤ワインの特徴」

スペイン、カスティーリャ・ラ・マンチャワイン特徴5

ブラックチェリー、イチゴジャム、紅茶、カシス、バニラなどの香り、スパイシーな香りも、なめらかな口当たり、しっかりしたタンニンですが酸は穏やか、ほんのり甘味を感じるほどの果実味。

カスティーリャ・ラ・マンチャ まとめ

1.目を覚ました眠れる巨人は世界中から注目を浴びています

2.スペイン最大の栽培面積を誇る「アイレン」は覚えましょう

3.スペイン初の単一ぶどう畑限定ワインはここ

4.スペインの半数の単一ぶどう畑はここにあります

 

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