スペイン、ガリシアワイン特徴

まずガリシアとは、一体どんな所なのでしょうか?

ガリシアはスペイン全漁獲量の1/4が獲れるほどの豊かな漁場を誇る州で、州都サンチャゴ・デ・コンポステーラはローマ、エルサレムに次ぎ世界三大キリスト教の聖地とされ、フランスからこのサンチャゴ・デ・コンポステーラに続く道は巡礼道・カミーノと呼ばれ、この道が世界遺産となっています。また世界的ファッションブランド「ZARA」もここガリシア地方が発祥なんですね!

スペインの多くが焼けた茶色い台地が広がっていますが、南にポルトガルに接し、西に大西洋に面したこのガリシア地方はその降雨日がなんとほぼ3日に1日。そのため「グリーン・スペイン」と呼ばれるほど緑豊かな大地です。

真夏でも30℃を超えることはほとんどなく、また真冬でも海洋性気候の影響で氷点下になることはほとんどない温暖な地域です。

スペイン、ガリシアワイン特徴2

リアス式海岸とは?

ガリシア地方でも特に海沿いの地域「D.O.リアス・バイシャス」では湿度が高いため、ぶどうの樹の仕立て方が棚づくりで栽培されています。雨の多い日本におけるぶどうの樹の仕立て方と同じです。

リアス=入り江、バイシャス=下の部分、というガリシア語の意味があり、日本のリアス式海岸と呼ばれているこのリアスはリアス・バイシャスからきています。

 

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自家消費用から「海のワイン」へと変貌!

その昔、リアス・バイシャスではいい意味素朴な自家消費用のワインを家庭で造っていました、その要因はミニフンディスモと呼ばれる小農制度が大きく影響しています。

当時の制度で各生産者が所有していた畑は子供の人数で均等に相続され続けていました。その結果、各生産者の畑が小さくなりすぎワイン造りを産業として発展させることが困難だったのです。生産者の中にはぶどうの樹を数本しか所有していない者までいました。

しかし、1980年代に協同組合が中心になりこの土地の土着品種アルバリーニョ種の栽培に力を入れるようになりました。

この品種は雨が多く、穏やかな気候に適しているだけでなく、沿岸部の土壌からぶどうのヨウ素摂取量が高いため塩分を感じるミネラリーな要素を蓄えます。現在ではリアス・バイシャスのぶどう総栽培面積の95%までを占めています。

この品種から造るワインはその特徴から魚介類との相性がよく「海のワイン」と称され、スペインを代表する白ワインに位置付けられ日本はもちろんアメリカなどへの輸出が盛んになっています。

 

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近年はスパークリングワイの生産も盛んになってきています

リアス・バイシャスでは2012年よりスパークリングワインの生産が認められました。シャンパーニュと同じちゃんと瓶内二次発酵の後に熟成させた高品質なものが造られています。

しかしこの地方はD.O.カヴァの生産地としては認められていないため、カヴァとして位置づけられておらず、D.O.リアス・バイシャスとしてリリースされます。現在では7つの生産者が造っています。

リベイラ・サクラ「聖なる流域」では?

ガリシア州の内陸部に「リベイラ(=流域)・サクラ(=聖なる)」というD.O.があります。

内陸部ということもあり大陸性気候の影響がありこの州では比較的少ない年間降水量900mm程度。この地域にはミーニョ川とシル川が流れており、この川に沿った流域はスペイン最古のキリスト教区ということもあり数多くの修道院が点在しています。

この地域ではこの修道院の修道士によるぶどう栽培とワイン造りが盛んでした。この地域では川沿いの渓谷の急斜面に段々畑のようにぶどう畑が広がっています。

また、この地方では白ぶどうの「ゴデーリョ」、黒ぶどうの「メンシア」が主で栽培されており、外来品種は認定されません。この2つの品種はスペイン国内外でも非常に注目されています。

甘口ワインもあります!

ガリシア地方の南部「リベイロ」、ここも修道院を中心にワイン造りが盛んで、ヨーロッパ各地の王室へ献上されていたこともあり、16世紀には新大陸に向かう船にもリベイロのワインが積まれていました。

しかしこの地方でも蔓延してしまったフィロキセラの影響でこの地での農業をあきらめ、南米へ移民した農民も多く現れ、一時期は耕作放棄地が増えてしまいました。しかし、近年ではエレガントな繊細な白ワインが造られています。

また、収穫したぶどうを室内で吊るし、乾燥させ水分を飛ばした後に発酵して造る「トスタド」という甘口ワインがリベイロの特産でもあります。

 

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ワインとはちょっと外れますが・・・

南米への移民は特にアルゼンチンやブラジルへの移民が多いと言われています。アルゼンチンではスペイン人のことを「ガジェゴ(ガリシア人)」と呼びます。

また、2016年にお亡くなりになった、キューバの革命家で元・国家評議会議長でもあった「フィデル・カストロ」、現・国家評議会議長「ラウル・カストロ」兄弟のお父さんはここガリシア出身の方です。

味わいの特徴

「ガリシア:白ワインの特徴」

スペイン、ガリシアワイン特徴3

マスカット、洋梨、レモン、青りんご、ミントにライチのような香り、海を連想させる塩っけを感じるようなミネラル感、フレッシュで活き活きした酸が引き締めます、果実味自体にも力があり厚みがあります。

スペイン、ガリシアのワイン特徴 まとめ

1.「リアス・バイシャス」「アルバリーニョ」は絶対に覚えましょう

2.自家消費用から「海のワイン」へと変貌

3.高品質なスパークリングも造られています。が、カヴァではありません

4.「ゴデーリョ」「メンシア」この品種は要注目

5.「トスタド」という甘口ワイン、目にすることがあれば是非お試し下さい

 

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