サンフランシスコとロサンゼルスとの中間に位置するパソ・ロブレス。この地域はアメリカでも温泉地帯として有名です。
都会というよりは田舎、日本人が訪れるとどこかホッとするような場所かもしれません。
大都市に挟まれているため、ナパなどのような観光地という発展はしておらず、商業的と言うよりは家族経営でコツコツとぶどう栽培、ワイン醸造を行っているワイナリーが多い地域です。
パソ・ロブレスってどんな位置付け?
パソ・ロブレスはサンフランシスコも含まれるセントラル・コーストに位置します。
セントラル・コーストは「サン・ベニート・カウンティ」「モントレー・カウンティ」「サンタ・バーバラ・カウンティ」「サン・ルイス・オビスポ・カウンティ」、4つのカウンティに分かれ、パソ・ロブレスはサン・ルイス・オビスポ・カウンティに属します。
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パソ・ロブレスには12のサブ的なA.V.A.
サン・ルイス・オビスポ・カウンティの北半分を占める大きなA.V.A.ですが、その中には12ものA.V.A.が点在しています。
「アデレイダ・ディストリクトA.V.A」
「クレストン・ディストリクトA.V.A」
「エル・ポマール・ディストリクトA.V.A」
「パソ・ロブレス・エストレッラ・ディストリクトA.V.A」
「パソ・ロブレス・ジェネスコ・ディストリクトA.V.A」
「パソ・ロブレス・ハイランズ・ディストリクトA.V.A」
「パソ・ロブレス・ウィロー・クリーク・ディストリクトA.V.A」
「サン・フアン・クリークA.V.A.」
「サン・ミギュエル・ディストリクトA.V.A」
「サンタ・マルガリータ・ランチA.V.A.」
「テンブルトン・ギャップ・ディストリクトA.V.A.」
「サンタ・マリア・ヴァレーA.V.A.」
です。
アメリカのローヌ
パソ・ロブレスの西側にはサンタルシア山脈があるので、海からの影響が遮断され日中は照りつける太陽で40℃にもなる気候ですが、夜間になると5℃にまで急速に気温が下がります。また、土壌が石灰質のため水捌けが非常によい土地です。
実はこの環境に目をつけた人物がいました。フランス・ローヌ地方を代表する銘酒シャトーヌフ・デュ・パプを造るシャトー・ド・ボーカステルのペラン一族とそのシャトー・ド・ボーカステルをアメリカに輸入していた正規輸入代理店オーナー、ロバート・ハース氏です。
彼らは土壌の調査を徹底的に2年もかけて行い、ジョイント・ベンチャーでワイナリー「タブラス・クリーク」を設立。当時、アメリカでも相手にされていなかった、シラーやグルナッシュ、ヴィオニエといったローヌ系のぶどうの栽培を始めました。
当初はローヌ系のぶどうの親株を所持していたカリフォルニア大学デイビス校から譲り受けていたのですが品質はいま一つで、結局、シャトー・ド・ボーカステルから輸入することになりました。
フランスから苗木を持ってくるという事により、3年間にも及ぶ検疫の後にようやく栽培が開始することになってしまいましたが、苗木がその土壌になじみ、優れたぶどうが収穫できるまでに9年もの歳月が流れ、ようやく世間があっと驚くようなワインができたのでした。
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ローヌ・レンジャーズ
こうしてローヌ系のぶどうで成功をおさめたタブラス・クリークでしたが、その成功を独り占めすることなく、苗木屋として周辺のワイン醸造家に販売したのです。
9年もの歳月をかけてカリフォルニアの台地に適した苗木に改良されたクローンは、ワイン醸造家の間で瞬く間に広がりを見せたのでした。
ローヌ系の品種で成功を収めているカリフォルニアのワイナリーのほとんどがタブラス・クリーク改良のクローンを用いています。
その後、ローヌ系品種を使ったワインは隆盛を極めるかの如くブームとなり、ローヌ系ぶどう品種を用いワイナリー・愛好者で「ローヌ・レンジャーズ」という団体までできました。その参加者はカリフォルニアだけにとどまらず全米各地に広がっています。
パソ・ロブレスワイン 味わいの特徴
「パソ・ロブレス:白ワインの特徴」
レモン、洋梨、黄桃、はちみつ、マンゴーやコンポートのような香り、甘くふくよかでとろみを感じる口当たり、丸みのあるまろやかな果実味の中にフレッシュな酸がキリッと全体のバランスを保っています。
「パソ・ロブレス:赤ワインの特徴」
プルーン、ラズベリー、ブラックベリー、黒胡椒、カシス、レーズンにバニラのような香り、フレッシュな口当たりもありますが、アルコールをしっかり感じる暑さの果実味がスパイシーな余韻とともに広がります。
パソ・ロブレス まとめ
1. 商業的ではない家族経営のワイナリーが多いです
2. 12のA.V.A.全部覚えた方、たいしたものです
3. タブラス・クリークが今の礎を築いたのですね
4. ローヌ・レンジャーズ、このキーワードはおさえましょう
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