スペイン、アンダルシアワイン特徴7

地中海に面した南部に位置したこのアンダルシア地方はマグロ、タコ、キュウリ、イチゴ、オリーヴオイル、イベリコ豚の生ハム、ガスパチョ、トルティージャ・・・などなど、私たちにもお馴染みの食材がわんさかのグルメの土地です。

こんな美味しい土地には当然美味しいワインもたくさんあります!

 

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アンダルシアの話をする前に①「ワイン法」

スペインワインにも格付けが存在します。これからいろんな地域のワインをお話しする上で外せないキーワードなのでここでお話を。

イタリア、ドイツ同様EUのワイン法改正に合わせて、2009年イタリアでも新法への改正がされました。

DOP → 旧法に基ずくトップカテゴリー

IGP→ V.P.やD.O.、V.C.の認定産地意外で栽培されたぶどうを使用した、その産地の特性をもつワイン。ラベルにはVino de la Tierra deのあとに 県名や町、地方名が表示される。現在41のVino de la Tierraが認定されている

Vino → 原産地呼称保護も地理的表示保護も名乗れないワインの全て

 

スペイン、アンダルシアワイン特徴

フランケンの話をする前に②「熟成規定」

スペイン、アンダルシアワイン特徴2

D.O.P.ワインの熟成樽の容量はシェリー、カバを除き330L以下のオーク樽を使用したものに限り熟成期間によって「グラン・リゼルバ」「リゼルバ」「クリアンサ」という表示をすることができます。

Gran Reserva → 赤ワインは合計60ヶ月の熟成を経ていること、その内18ヶ月は樽熟成をすること。白・ロゼワインに関しては、合計48ヶ月以上の熟成を経ていること、その内6ヶ月以上は樽熟成すること。

Reserva →赤ワインは合計36ヶ月の熟成を経ていること、その内12ヶ月は樽熟成をすること。白・ロゼワインに関しては、合計24ヶ月の熟成を経ていること、その内6ヶ月以上は樽熟成すること。

Crianza →赤ワインは合計24ヶ月の熟成を経ていること、その内6ヶ月は樽熟成をすること。白・ロゼワインに関しては、合計18ヶ月の熟成を経ていること、その内6ヶ月は樽熟成すること。

 

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いろんな気候が入り混じった地域

スペイン、アンダルシアワイン特徴3

地中海沿岸の平野部や丘陵地は日照豊富な地中海性気候となっています。

更にシエラ・デ・マラガの700mを超す山間部や3000m級の山々が連なるシエダ・ネバダ山脈がある内陸部は寒暖差の大きい大陸性気候、またジブラルタル海峡西部は大西洋に面しているため海洋性気候・・・と、さまざまな気候が入り混じっている複雑な気候です。

スペインを代表するワイン

アンダルシアの南西部にあるヘレスという小さな街を中心に限定した地域で造られる白ワイン。このワインの語源は711年から1264年、この地域を支配していたアラブ人がこのワインを「シェリシュ」と呼んでいたことに由来。

この言葉を英語化したのが「シェリー」で、スペイン語化したのが「ビノ・デ・ヘレス(ヘレスのワインと言う意味)」です。

紀元前から続けられていたこの地方のワイン造りはローマ帝国の時代から、この地方の重要な交易品としてローマ帝国本国でも評判を得て、ワイン産業が奨励されていました。この流れはアラブ人かこの地を治めるようになってからも続いていました。

 

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医療に用いていなければ

でも、ふと疑問思う事がありますよね。経典コーランで禁止されており、飲酒が厳罰の対象とされているイスラム教の敬虔な信者であるアラブ人が、わざわざワイン造りを奨励していたのか。

それは、ワインの成分であるアルコールを医療目的として必要であったため、この地のぶどう栽培とワイン造りがそのまま奨励されたのです。

医療にアルコールを用いていなければアラブ人が支配した500年間にぶどう栽培やワイン造りは途絶えて衰退していたかもしれませんね。

世界一周をした初めてのワイン

シェリーはその後の交易でも重要な品としてヨーロッパに留まることはありませんでした。

アメリカ大陸の発見に伴いジェノバの商人は新大陸との交易を行うために、当時評判が大変よかったシェリーを重要な品として、その産地であるヘレスに居を構えシェリーを253樽と417袋を買い、新大陸へ向け旅立ちました。

その後、新大陸を経由しアジアなどにも広まったシェリーは世界一周をした初めてのワインと言えますね。

普通のワインとはちょっと違う造り方

普通のワインとちょっと造り方が異なりますのでここで説明を、なるべく簡単に。

 

スペイン、アンダルシアワイン特徴4

使用許可品種はどれも白ぶどうです。パロミノ(全体の95%を占めます)、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3種類です。

①ペドロ・ヒメネスとモスカテルは甘口ワインを造るための品種は収穫したのち、

②エスパルトという草でできたござの上で天日干しされます。こうすることによりレーズン状になります。

③④その後、軽い圧力でされる破砕、プレスによって100kgのぶどうから70Lの割合で果汁がとれます。

⑤そうしてとれた果汁は発酵に入ります。この時にイエソと呼ばれる石膏を混ぜます。これは果汁の酸度を高め腐りにくくするためです。こうして発酵された果汁は500~600Lサイズの樽に移されます。

⑥この際、樽いっぱいに果汁をいれるのではなく7分目程度しか入れません。その理由はフロールと呼ばれる果汁の表面にできる産獏酵母の繁殖を促すためです。(このフロールは普通のワインを造る際にも発生しシェリー香がついて駄目になってしまうため嫌われるの
ですが、シェリー造りには産獏酵母による香りを利用しているのです)

⑦中にはフロールが生えなかった樽も出てきます。ここでフロールの生えた樽と生えなかった樽を選別します。(フロールが生えなかった樽からはオロロソという豊かな香りとデリケートなコク、深みのあるシェリーが造られます)

⑧選別が終わった樽にはブランデーなどのアルコールを添加し度数を高めます。(こうしてアルコールを添加し度数を高めるワインを酒精強化ワインといいます)

⑨ブランデーが添加されたワインはソレラ・システムという樽を数段に重ねた一番上の樽に入れられます。この一番上の樽に入れられるワインの事を「ソブレタブラ」と言います(“板の上”という意味。昔ソレラ・システムに入る前のシェリー樽が板の上に置いてあった。ということがその由来)

 

スペイン、アンダルシアワイン特徴5

一番下の樽には一番古く成熟されたシェリーが入っています。このことをソレラと呼び、ここから製品としてのシェリーがびん詰めされます。

こうして製品として使用し減った分を一つ上の段の樽(第1クリアデラ)から補充します。第1クリアデラの減った分は第2クリアデラから補充します。(クリアデラとは育てるという意味のクリアールからきた言葉で“育成所”という意味)

⑩⑪こうしてソレラから出されたものをタンクに集められ均質化したうえで、びん詰め、出荷されます。

 

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味わいでみるタイプ

一口にシェリーと言っても使用するぶどう品種のバランス、熟成期間などから様々な味わいのタイプが造り出されます。

フィノ(Fino)、マンサニーリャ(Manzanilla)、アモンティリャード(Amontillado)、パロ・コルタド(Palo Cortado)、オロロソ(Oloroso)、ペドロ・ヒメネス(Pedro Ximenez)、モスカテル(Moscatel)、ミディアム(Medium)、クリーム(Cream)

スペイン、アンダルシアワイン特徴6

スペイン、アンダルシア地方のワイン まとめ

1.いろんな気候が入り混じった気候

2.スペインを代表するワイン「シェリー」はここで造られます

3.普通のワインとは違う造り方

4.ソレラ・システムは特に独特です

5.辛口から甘口までシェリーといってもその味わいは様々

 

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