ブルゴーニュをさらりと勉強したところで、次なる地域は、そう!「ボルドー」です。
何かとブルゴーニュと比較されてしまう両者。でも比較することでよりわかりやすいので、ここでもブルゴーニュと比較しながら勉強しましょう。フランスワインと言えば、ボルドーは外せません。
ワインを勉強する中で、その種類の多さに驚いてしまう方も少なくないかと思います。ですが、ご安心ください。ボルドーを覚えることで同時にブルゴーニュも知ることになります。
またボルドーをおさえれば、まずは一安心できると言って過言ではないほど、この地域は世界のワイン産業の基準になっています。さあ、楽しみながら勉強しましょう。
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地形に恵まれたボルドー
ボルドーの街の中心に流れているガロンヌ河にはたくさんの港が造られ、三日月状に大きく湾曲した形から「月の港」と呼ばれていたそうです。
でもなぜ海ではなく、河に港が造られたのでしょうか。それは、ボルドーの地形は最低海抜がわずか1mとかなり低く、海が満潮を迎える時には河が逆流します。このため大きな貨物船も楽に河の上流へと進むことができたのです。
このためボルドーの街近くに港を造ることができ、ぶどう畑から港へ、世界に向けて運ぶための都合が非常に良かったのです。
甘美なおいしさに魅了された人物「トマス・ジェファーソン」
トマス・ジェファーソン氏ってご存知ですか?
その昔、アメリカ合衆国で独立宣言を起草した第3代大統領です。
氏が1784年から1789年までの駐仏米国大使時代だったころの話。
当時度々ボルドーを訪れ大量のボルドーワインを購入、パリの米国大使館経由で本国まで送るほどハマっていました。
またその際に購入するワインは全て各シャトーで直に瓶詰させる徹底ぶり、さらにジェファーソンは自身の消費用だけでなくアメリカ初代大統領ジョージ・ワトソンの分まで最上のボルドーワインを購入しています。
しかも購入に際して、それぞれの購入者名「TJ」または「GW」の彫られたボトルを用意させ、このボトルに各シャトーで瓶詰めをさせていたことが知られています。
当時のワイン業界に精通していたジェファーソンは中間業者であったワイン商を信用しておらず、購入したワインが本物であることを証明するためにこのような事をしたとされています。ハマり方が徹底していますよね。
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ブルゴーニュと違うワインの造り方
ボルドーでは、赤ワイン、白ワインそれぞれ複数のぶどう品種をブレンド(=アッサンブラージュ)して造られます。
赤ワイン用としてのぶどう品種は、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルド、マルベック
白ワイン用としてのぶどう品種は、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、ミュスカデル
また、ボルドーでの赤ワイン用としてのぶどう品種の栽培面積が9割、白ブドウは僅か1割です。
お城でワインを
ぶどう造りからワイン醸造、熟成、瓶詰めまでを一貫して行う生産者のことをこの地方では「シャトー」と呼びます。これは直訳するとお城という意味。
お城のように大きい建物に広大な敷地でワインを手掛けており、スケールの大きな会社に近い形態になっています。
畑の所有者
ボルドーの場合、一つの畑の所有者は基本的に一シャトーが所有しています。
シャトーに格付け
ボルドーワインはシャトーが複数の畑を所有して、その複数の畑からそれぞれ違うぶどうをブレンドして1本のワインを造る方法をとっているので、ブルゴーニュのように畑ごとに格付けする意味がなかったのです。そこでボルドーでは「畑」ではなくワインを造っている「シャトー」に格付けをしたのです。
また、ボルドーの中にメドックという地区があります。ここで手掛けられるワインに関してはボルドーの他の地域のワインと比較しても中世の頃からイギリスなどを中心とした国々の王侯貴族の間において高値で取引されていました。
そんな折、世界で最初の国際博覧会が開催されることになり、ロンドンとパリで激しく開催地を争っていました。結果、最終的に選ばれたのはロンドン。選考理由として諸説ありますが、ロンドンは当時産業革命真只中、世界中の人々にアッと言わせる発明品、展示品、このために建てられた王宮などを多く所有していたことが要因の一つとされています。
まだエッフェル塔が無い時代のパリ、第二回国際博覧会は何としてもパリで開催したいと、時の皇帝ナポレオン三世は既に世界中で高価取引されていた「ボルドーワインの展示」を視野に入れており、その展示方法として格付けが必要と考え実施したのです。
そのことがきっかけで1855年ボルドー・メドック地区61シャトーからなる格付けが制定され、一部格付け順位の変更(1973年、当時2級であった「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」が1級に昇格)はありましたが、現在までもその格付けは世界中に大きな影響を与えています。
現在、格付け1級には5つのシャトーが認められています。この5つを称して「五大シャトー」と呼ばれています。この5つのシャトーぐらいは覚えましょう!
【五大シャトー】
シャトー・ラフィット・ロスチャイルド
シャトー・ラトゥール
シャトー・マルゴー
シャトー・オー・ブリオン
シャトー・ムートン・ロスチャイルド
それにしても、皇帝ナポレオン一世がブルゴーニュ、ジュブレ・シャンベルタンを皇帝ナポレオン三世がボルドー、メドックの格付けを・・・なんかロマンありますね。
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味わいの特徴
「ボルドー:赤ワインの特徴」
濃厚な深いルビー色、カシス、木苺のような濃厚で優雅、深みがあり内向型です
口当たりなめらか、芳醇、精妙、豊かなボディ、複雑な味わい、渋みが強い
「ボルドー:白ワインの特徴」
黄色がかった薄い緑色、グレープフルーツ、リンゴ、ライム、ハーブのような香り
シャープで活き活きとした酸、すっきりと清涼感のある果実味
「ボルドー:甘口・白ワインの特徴」
黄金色、マンゴ、ハチミツ、アンズジャム、バニラのような香り、ロースト香も
とろみを感じるような重厚でコクのある甘さ
ワインの醸造方法など、ブルゴーニュと比較することによりボルドーワインの特徴が鮮明にお解かりいただけたかと思います。また、味わいの好みも「ボルドー派」「ブルゴーニュ派」と分かれるかと思います。
ですがそれは結果であって、まずはボルドーワインを楽しみながら飲みましょう!!
フランス・ボルドーワインの特徴 まとめ
1.フランスワインでボルドーワインは外せません
2.地形に恵まれたボルドー
3.アメリカ大統領も愛したボルドーワイン
4.複数のぶどう品種をブレンドして1本のワインを造ります
5.シャトーに格付け、それがボルドー
6.あなたは「ボルドー派」それとも「ブルゴーニュ派」?
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