「アメリカのワイン=カリフォルニアワイン」とイメージされる方も多いかと思います。
映画「サイドウェイ」の舞台にもなった、アメリカを代表する銘醸地。一度は訪れたいワイナリーが沢山点在しています。
このようなカリフォルニアを知ることはアメリカワインのいろんなことを知ることと同じです。
太平洋に沿った山脈は1200m級、内陸部にあるシェラネバダ山脈は3000~4000m級もあり、太平洋の海流は北から南へ流れているため水温が低い寒流で、海岸線ほど涼しく、内陸に行くほど乾燥した気候で夏には40℃にもなります。
また、名物にもなっている霧の発生が多い地域で温暖な時期にはほぼ毎日発生するため、朝から昼にかけての気温上昇はゆっくりとしており、夕方から夜の間は急速に冷え込みます。
このことによる大きな寒暖差はぶどうがゆっくり成熟していく大きな要因の一つです。また年間降水量のほとんどが冬に集中しており、ぶどうの栽培にとっては好都合な水事情です。
ワイン生産量が「全米第一位」のカリフォルニア
アメリカ全体でのワイン年間生産量は第四位、その90%をカリフォルニアが占めています。
カリフォルニア州単独でも世界第四位となるほど、アメリカにおけるシェアは全米第一位、第二位のワシントン州で4%とその差は歴然です。
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パリスの審判
後にギリシャ神話の一挿話パリスの審判に準えられた企画、それはアメリカ独立200周年の記念に開催されたものでした。
1976年に開催された企画は200年前にアメリカ独立にフランスが手助けしたように、アメリカワインの応援をフランスが行おうという意図もあって、フランスワインとアメリカワイン(全てカリフォルニアワイン)のテイスティング大会を開催されました。
この企画の発案者がイギリス人であったという事は何かの因縁なのでしょうか。しかしこの企画で誰もがフランスワインの優位に疑う者はいませんでした。当時アメリカワインは世界的に見て、存在していないのと同じぐらい影が薄かったのです。
こうして始まったテイスティング企画、集められたワイン、集められた9名の審査員はフランスの超一流ばかり。
AOC委員会の関係者、ミシュラン三ツ星レストランオーナー、フランス随一のワイン雑誌編集長、フランス随一のグルメ雑誌編集長、ミシュラン三ツ星シェフソムリエ、ワイナリーのオーナー、ミシュラン三ツ星レストランオーナーシェフなどその顔ぶれは蒼々たるものでした。
しかも全員がフランス人。しかも開催場所はパリ。フランス側のワインもボルドー、ブルゴーニュから凄まじい銘柄ばかりが集められました。そして行われたブラインドでのテイスティング、20点満点で評価された結果激震が走るのです。
それまで審査中、散々に酷評していたワインがフランスワインだったのです。無名のカリフォルニアワインが白、赤ともにフランスのトップシャトー、トップドメーヌのワインに勝ったのです。
この結果をアメリカの雑誌「TIME」が報じたところ世界中にその衝撃が走りました。このことは出品したワインが成功を収めるきっかけになるだけでなく、カリフォルニアワイン全体に注目が集まることになりました。
しかもその10年後に同じ銘柄、同じヴィンテージでテイスティングがカリフォルニアで行われました。結果は1位にはカリフォルニアワインが選ばれました。
しかもしかも20年後に再び行われたテイスティング、今回はロンドンとカリフォルニアで違う審査員で行われました。その結果は・・・1位から5位をカリフォルニアワインが独占する結果になりました。
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生産地は大きく分けて5つのエリア
その気候条件、土壌などから大きく分けて5つのエリアに分けられます。
「ノース・コースト」
サンフランシスコ湾から北の太平洋沿岸地域。
ナパ、ソノマ、メンドシードなど高級ワイン産地が含まれます。
「セントラル・コースト」
サンフランススコ南部からサンタ・バーバラまでの太平洋沿岸地域。
カリフォルニア全体でもワイン生産の歴史が古く伝統がある一方、ローヌ系品種をいち早く導入するなど、ワイン産業に影響をもたらしています。
「セントラル・ヴァレー」
海岸地帯の山脈とシェラネバダ山脈の間に位置。
カリフォルニア最大面積を誇ります
「サウス・コースト」
ロサンゼルスから南、メキシコまで続く地域.
この地に初めてワイン造りが伝えられたとされ、現在では日常的なテーブルワインが生産されています。
「シエラ・フットヒルズ」
シェラネバダ山脈の西側の山麓に位置し標高が1200mにもなる冷涼な地域でゴールドラッシュの主要地域でした.
その際にぶどう栽培が始まり現在ではジンファンデルが代表的な品種です。
※主要A.V.A.「ナパ・ヴァレー」「ソノマ・ヴァレー」「パソ・ロブレス」は改めてご紹介します
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カリフォルニア大学デービス校の「醸造学」
フランスのボルドー大学、ドイツのガイゼンハイムなど世界でも有数のワイン醸造学科がありますが、アメリカにもあります。それがカリフォルニア大学デービス校でここは醸造学を筆頭とする大学です。
ここではフランスの銘醸地でも実際に使用されているぶどうのクローンを造り、このクローンの種子がカリフォルニアの苗木となっています。
また、ここで研究を重ねていたウィンクラー博士が1930年代に「ワイン産地の気候区分」を発表。カリフォルニアのどの地域が世界中どこのワイン銘醸地と一緒の気候帯なのかを分類したのです。
このことはカリフォルニアのどこに、どのぶどう品種を植えればよいかを科学的見地から判断した画期的なものでした。
ザ・ニュー・カリフォルニアワイン
一般的にカリフォルニアワインのイメージというと、品種にとらわれることなく濃厚なイメージが多くを占めているかと思います。
しかし2000年以降はそれまでのイメージを覆すような、ナチュラルでエレガント、その土地固有の風土を現したカリフォルニアワインを造ろう、力任せのワインを造るのは終わりにしよう、という流れが起きています。
この流れは2013年に、ワイン愛好家に絶大な影響を及ぼしているメディア「サンフランシスコ・クロニクル」誌の編集長を永年勤めてきたジョン・ボネ氏が発表した「ザ・ニュー・カリフォルニアワイン」にて世界的な注目を集めることになりました。
カリフォルニアワインの特徴 まとめ
1.圧倒的に全米第一位です
2.パリスの審判で世界的にカリフォルニアワインの存在を知らしめることに
3. カリフォルニアと言っても、大きく分けて5つのエリアに分かれます
4. カリフォルニア大学デービス校はワイン業界に大きな影響を及ぼしています
5. 今、カリフォルニアワインは大きな転換期を迎えています。
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